今回は雇用保険の基礎!
雇用保険は就業中や失業したときの収入の減少など、雇用に関する給付を受けられる公的保険制度です。

けっこう利用できる機会もある制度だと思うので知っておくと実生活でも役立ちます!
実際の生活、FP試験にも役立ちます!(この1記事でFP2・3級の雇用保険の範囲を大体網羅しています)
雇用保険
雇用保険とは
雇用保険は、労働者の就業中、失業中などの雇用に関する給付を行う公的保険制度です。
政府が実施し、公共職業安定所(ハローワーク)が窓口となっています。
| 被保険者 | ・所定の労働時間が週20時間以上、かつ雇用が31日以上を見込まれるもの ・65歳以上の者は高年齢被保険者となる 【マルチジョブホルダー制度】 65歳以上の労働者を対象に、複数の事業所で働く場合、各事業所での 労働時間が20時間未満であっても合計の労働時間が20時間以上の場合は 被保険者とみなす制度 ・法人役員、個人事業主は対象外 |
| 保険料 | 【被保険者に対する給付に充てられる部分】 ・失業等給付 ・育児休業給付 などに充てられる部分は、被保険者と事業主が折半 【ニ事業に充てられる部分】 ・雇用安定事業 ・能力開発事業 などに充てられる部分は、別途事業主が負担 保険料は事業の種類によって異なる |
| 窓口 | 公共職業安定所(ハローワーク) |

所定労働時間が週20時間以上、雇用見込みが31日以上なので会社員はもちろん、大体のアルバイト、パートをしてる人も被保険者になるよ!
給付の種類
雇用保険の全体像をつかみやすくするために、給付の種類を表にしました。
次で各給付について説明します。
| 失業等給付 | 求職者給付 | 失業した場合の就職活動中の生活を補助するための 給付 ・基本手当 ・高年齢求職者給付金 |
| 就職促進給付 | 早期の再就職を促すための祝い金 ・再就職手当 | |
| 教育訓練給付 | 就業を目的としたスキルアップのための受講料を 一部負担する給付 ・一般教育訓練給付金 ・専門実践教育訓練給付金 | |
| 雇用継続給付 | 働き続けてもらうために所得の減少分を補うための 給付 ・高年齢雇用継続給付 ・介護休業給付 | |
| 育児休業給付 | 育児による休職中の所得の減少分を補うための給付 | |
求職者給付
求職者給付は離職後、求職活動を行う人に支給される給付金です。
- 65歳未満の求職者:要件を満たすと基本手当
- 65歳以上の求職者:要件を満たすと高年齢求職者給付金
が支給されます。
基本手当
基本手当は、被保険者が離職し、公共職業安定所で失業の認定を受けた場合に支給されます。

よく会話で、失業保険って言われてるやつです!
| 受給資格 | ・離職の日以前2年間に通算して12ヵ月の被保険者期間がある ・特定受給資格者、特定理由離職者は離職の日以前1年間に6ヵ月 ・65歳未満の働く意思と能力があり、求職活動を行っている人に 失業の認定を経て支給される |
- 特定受給資格者:倒産、解雇などによる離職者
- 特定理由離職者:有期労働契約者などで契約満了、契約更新がされなかったなどによる離職者


離職前2年間に通算して12ヵ月の被保険者期間なので離職後、基本手当の申請をせずに失業期間が長引くと、どんどん被保険者期間が無くなっていくので早めにハローワークに行き申請しておこう!
| 所定給付日数 | 基本手当が支給される限度となる日数 ・自己都合退職、定年退職の場合、被保険者期間で所定給付日数が決まる 【65歳未満で自己都合退職、もしくは定年退職した場合の被保険者期間 と所定給付日数】 1年以上10年未満:90日(約3ヵ月) 10年以上20年未満:120日(約4ヵ月) 20年以上:150日(約5ヵ月) ・特定受給資格者、特定理由離職者は被保険者期間と離職時の年齢で決まる 45歳以上60歳未満で被保険者期間20年以上の場合、最長330日 |
| 賃金日額 | 原則として、被保険者期間であった最後の6ヵ月間に支払われた賃金の総額を 180で除して算出した額 |
| 基本手当日額 | 60歳未満:賃金日額の50~80% 60歳以上65歳未満:賃金日額の45%~80% |

所定給付日数は基本手当をもらえる日数、賃金日額は基本手当の支給額を算出するための過去のお給料の平均、基本手当日額は賃金日額をもとに算出された支給される1日あたりの基本手当の金額!
| 受給期間 | ・原則として、離職日の翌日から1年間、受給期間経過後は、基本手当の所定給付日数 が残っていても給付されない ・受給期間中に出産や病気により引続き30日以上就業できない場合は、申出により、 最長で3年間の受給期間の延長ができる(最長4年間 元の受給期間1年間+延長3年間) ・待期期間:最初の受給資格決定日から7日間は待期期間となり、基本手当の支給は されない ・給付制限期間:自己都合退職などの場合は、7日間の待期期間に加え、1ヵ月(最長3ヵ月) の給付制限期間がある 定年、解雇、倒産などの場合は給付制限期間はなし(待期期間はあり) |


受給期間は原則、離職日の翌日から1年間なので待期期間や給付制限期間を考えるとやっぱり早めに申請しておこう!
| 手続き | 1.離職後、住所地の公共職業安定所に離職票を提出し、求職の申込みを行う 2.受給資格が決まると受給資格者証が交付され、失業の認定日の指定を受ける 3.失業の認定日に公共職業安定所に行き、失業認定申告書と受給資格者証を提出し 求職の申込みを行う 4.失業の認定は原則として、4週間に1回ずつ前回の認定日から今回の認定日の前日 までの期間について行われる 5.失業の認定を受けた日数分の基本手当が支給される |

FP2・3級試験で手続きの細かい部分は出題されないと思いますが、申請から支給までのおおまかな流れを知っておくと実生活では役立ちますよ!
高年齢求職者給付金
高年齢求職者給付金は、65歳以上の人が離職した場合に、要件を満たすと基本手当に代えて、一時金で支給される給付金です。

65歳以上なので、すでに老齢厚生年金を受給しながら求職してる人もいると思いますが、高年齢求職者給付金との併給調整はなく、どちらも全額支給されます。
基本手当との比較
| – | 基本手当 | 高年齢求職者給付金 |
| 年齢要件 | 65歳未満 | 65歳以上 |
| 被保険者期間 | ・離職の日以前2年間に通算して12ヵ月以上 ・特定受給資格者、特定理由離職者は離職の 日以前1年間に6ヵ月以上 | ・離職の日以前1年間に通算して6ヶ月以上 |
| 受給金額 | 基本手当日額を所定給付日数分 【基本手当日額】 60歳未満:賃金日額の50~80% 60歳以上65歳未満:賃金日額の45%~80% | 【被保険者期間】 1年未満‐基本手当日額の30日分 1年以上‐基本手当日額の50日分 |
| 支給方法 | 失業認定(4週間に1回ずつ)を受けた日数分 を支給 | 基本手当に代えて一時金で支給 |
就職促進給付
就職促進給付は、早期の就職を促すために祝い金として支払われる給付金です。
再就職手当などがあります。
再就職手当
再就職手当は、基本手当の受給者が安定した職業に就いたときなどに、一定の要件を満たすと支給される祝い金です。
| 受給要件 | 就業日の前日時点での基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上 残っている場合に支給 |

離職後、まずは失業認定を受けて基本手当を受給⇒基本手当を全部もらわず、支給残日数を3分の1以上残して早めに再就職⇒再就職手当を受給、こんな流れで給付を受けます!
雇用継続給付
雇用継続給付は長く働いてもらうことを目的に、所得の現象を補うための給付金です。
高年齢雇用継続給付、介護休業給付などがあります。
高年齢雇用継続給付
高年齢雇用継続給付は60歳以降も働き続けてもらうことを目的とした給付金です。
高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金の2種類があります。
| – | 高年齢雇用継続基本給付金 | 高年齢再就職給付金 |
| 受給要件 | ・雇用保険の被保険者期間が5年以上あり、 基本手当を受給せずに雇用を継続する 60歳以上65歳未満の者 ・60歳以降の賃金が60歳時点と比べて 75%未満に減少となった月に支給 | ・雇用保険の被保険者期間が5年以上 あり、基本手当を受給しながら再就職 をした60歳以上65歳未満の者 ・再就職手当を受給せず、基本手当の 支給残日数を100日以上残して再就職 した場合 ・60歳以降に再就職した場合の賃金が 基本手当日額の基準となった賃金日額 を30倍した額(離職時の賃金月額)の 75%未満に減少となった月に支給 |
| 受給金額 | 【60歳時の賃金と比較した賃金額】 ・64%未満:賃金額の10% ・65%以上75%未満:10%以下の一定の 支給率 ・75%以上:支給対象外 | |
| 支給期間 | 60歳以降65歳到達月まで | 【基本手当の支給残日数】 ・100日以上200日未満:1年(最長65歳 到達月まで) ・200日以上:2年(最長65歳到達月まで) |

どちらも高年齢~って名前だから高年齢被保険者(65歳以上)に支給される給付だと勘違いしちゃうけど、どちらも実際は60歳以上65歳未満の一般被保険者(65歳未満)が対象です!
介護休業給付
一定の家族の介護休業期間中の所得の減少を補うための給付です。
| 受給要件 | ・職場復帰を前提に対象家族(配偶者、子、父母、祖父母、 兄弟姉妹、孫、配偶者の父母)の介護が対象 ※対象家族は同居、扶養していなくても認められる ※複数の被保険者が同時に取得もできる(兄弟で親の介護 をする場合など) ・休業開始前2年間に12ヵ月以上の被保険者期間がある |
| 受給金額 | 休業前の賃金日額の67% ※休業中に賃金を支給されている場合は給付金は減額、 80%以上の賃金を支給されている場合は支給されない ※介護休業中に就業する場合は、1支給単位期間 (介護休業開始から1ヵ月)あたり10日以下である必要 がある |
| 支給期間 | 同一の家族に対して、通算して93日を限度に、3回まで 分割取得できる |

対象家族の範囲には、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母まで含まれる!
育児休業給付
育児休業給付金
育児休業給付金は、育児による休暇中の所得の減小を補う給付金です。
| 受給要件 | ・職場復帰を前提として被保険者が1歳未満の子どもの養育 の為の休業が対象 ※保育所に入ることができないなどの理由がある場合は 1歳6ヵ月、または2歳未満まで延長可 【パパママ育休プラス】 夫婦ともに育児休業を取る場合は1歳2ヵ月まで延長可 最大2回まで分割して取得できる ・休業開始前2年間に12ヵ月以上の被保険者期間がある |
| 受給金額 | ・休業開始から180日:休業前の賃金日額の67% ・181日目以降:休業前の賃金日額の50% |
| 支給期間 | 子どもが1歳に達する日まで(最長2歳まで延長可) |

女性の被保険者は出産の前後は産前産後休業、産後は育児休業へ移行するのが一般的!産後56日までは出産手当金、子供が1歳になるまでは育児休業給付金で家計をカバー!セットで覚えよう!
出産手当金は公的医療保険の記事から学べます!
教育訓練給付
教育訓練給付は、就業を目的としたスキルアップのため、厚生労働大臣指定の教育訓練の受講料を一部負担してくれる給付です。
一般教育訓練給付金、専門実践教育訓練給付金があります。
| – | 一般教育訓練給付金 | 専門実践教育訓練給付金 |
| 受給要件 | 受講開始時点で被保険者期間が3年 (初めての支給の場合は1年) | 被保険者期間が3年 (初めての支給の場合は2年) |
| 支給額 | 【厚生労働大臣指定の一般教育訓練】 教育訓練経費の20%(上限10万円) 【特定一般教育訓練】 教育訓練経費の40%(上限20万円) ※どちらも給付額が4000円を超えない場合は 給付されない | 【厚生労働大臣指定の専門的、実践的 教育訓練】 教育訓練経費の50%(年間上限40万円) 【追加支給】 資格取得などにより就職に結びついた 場合は20%を追加支給、合計70% (年間上限56万円) ※給付額が4000円を超えない場合は 給付されない |
※どんな講座やスクールがあるのか教育訓練給付金制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座 検索システムから検索できます。

要件を満たせば求職中の人、働いてる人、どちらも利用できるよ!
雇用保険と老齢厚生年金の併給調整
基本手当との調整
退職後、特別支給の老齢厚生年金の受給権を持つ65歳未満の人が、雇用保険の基本手当を受給する場合、基本手当が優先され、特別支給の老齢厚生年金は全額支給停止となる(繰上げ支給の老齢基礎年金は支給される)
高年齢雇用継続給付との調整
仕事を継続しながら特別支給の老齢厚生年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付を受給する場合、在職老齢年金の支給調整に加え、年金額の一部(最大で標準報酬月額の4%相当額)の特別支給の老齢厚生年金が支給停止となる

ただし、65歳以降に受給できる高齢者求職者給付金は年金との調整はないのでどちらも全額支給されます!
おわりに
今回は雇用保険の基礎でした。
雇用保険は給付の種類が多いので学習は大変ですが、給付を1つ1つやみくもに覚えるより、
- 失業した場合の就職活動中の生活を補助するための給付
- 就業を目的としたスキルアップのための給付
- 長く働き続けてもらうための給付
みたいに給付の目的別に整理しながら覚えていくと記憶に残りやすいと思います。
あと、なんかテキストの文章を誤解して覚えてる気がして自信がないときとかに、答え合わせ代わりに厚生労働省のサイトが役立ちますよ。
使い方を慣れるまでが大変ですが、雇用保険の管轄省庁だけあって情報は網羅されています。

では、おつかれさまでした!!

